第12回目の開催です。
アランスミシーバンドのギターボーカルのヒデさんと、OHIO101(オハイオワンオーワン)のギターボーカルの鈴木純也さんとの二人でやってるユニット及び企画のライブの様子を書き残します。
行けなかった方へも少しでもバンドやイベントの魅力が伝わればと思います。
THE BANDED 「かつて僕らが大好きだったもの」vol.12@中崎町 epice cafe 2024.11.02(sat)op18:00/st19:00
※前回vol.11、前々回の vol.10の様子はこちらのリンクからご覧いただけます。
→THE BANDED「かつて僕らが大好きだったもの」vol.11
→THE BANDED「かつて僕らが大好きだったもの」Vol.10
※お二人それぞれのバンドです。クリックすると公式webへジャンプします。
The Alan Smithy Band
大雨警報のなか、自宅を出てズボンや背中を濡らしながら最寄駅へ向かう。
中崎町駅に着き、2番出口の階段を上り切るころには通行人の傘は閉じられている。
オープン時間の15分前頃に会場へ到着すると、ヒデさんと鈴木さんがリハーサルを行なっている。名前はわからないけど、THE BANDの曲を。日が暮れて半袖だけでは少し肌寒く、ヘッドライトを点けた車が濡れたアスファルトを通り過ぎる音や、自転車を漕ぐ音、通行人の話し声、軒先に置かれたラジオから流れるDJの声などと混じりあって、ゆったりとマイペースな歌声とギターの音色が淡い光の店内から漏れてくる。外国映画のワンシーンに入り込んで、行ったこともない異国の地にいるような、ふわふわとした気持ちになる。
「どうぞ」
オープン時間2分前の17時58分にCafeの扉が開く。
バーカウンターの端で受付をすませ、テーブル席へ座る。
ナポリタンの口になっていたが、今回もグリーンカレーとビールを注文する。
バーカウンターの上の黒板を見ると、冬はおでんもあるよう。
オープンからひとり、ひとりと、お客さんが来店し、Cafe内は満席になる。思い思いにビールを頼んだり、なじみ同士で話が盛り上がったりと開演時間までそれぞれの楽しみ方で過ごされている。
19時少し前から鈴木さんは譜面台を組み立てはじめる。
1本の棒から左右に羽が生えて今にも飛んでいきそうなように広がり、マイクスタンドの横側に設置する。
大丈夫と確認し、外へ出て煙草を喫む。
-第1部-
まずはじめはアランスミシーバンドのヒデさんの番です。
18時55分を回る。
5分前。
ひとつ深呼吸をして上着を脱ぐ。
かばんの中からTシャツを探しだし、奥へ行き紺色の半袖Tシャツに着替える。
あとからよく見ると、Tシャツの下の方にアランスミシーバンドって書いてました。
10分押しと言うことで、しばし店の外で鈴木さんと出番前の時間を過ごす。
そろそろはじめようかとなり、ステージとなる演奏場所に就く。
玄関の硝子扉が開いたままになっていたので閉める。ちりんちりんとドアベルが鳴る。
アコースティックギターを肩から提げチューニングを行い、自身のタイミングを見計らって弦を爪弾きはじめる。
1曲目は「スノーマン」。1曲目から、と言えば良いのか。珍しい。
バンド編成の演奏では、歌詞のなかの“僕”当事者となって情熱的に訴えかけている。
一方ギター1本では、しかも今回のように初っぱなから歌うのは、一歩引いて俯瞰し、落ち着いて自分自身を見つめた気持ちになって進んでいこうというような感じを受けた。
「どうもありがとうございます」
少しの挨拶と本日の趣旨をお話して次の曲「ムジナ」へ。
この曲は、アランスミシーバンドを知ってから、はじめて行ったライブの最初に演奏していた曲なので個人的な思い入れが強い。そして「ムジナ」は、三日月ジョンとの出会い(周藤三日月氏とアランスミシーのヨウジ氏の偶然の再会)で生まれた名曲でもある。
三日月ジョンが解散して、再結成して、ようやく行けたライブハウスで出会えたのがアランスミシーバンドで。
三日月ジョンサイドからすると、アランスミシーバンドのおかげで、三日月ジョンが解散ライブのときに対バンしたグラスニットジャガーと再度繋がりが出来て、来年の1月に約19年ぶりに対バンすることになっている。ムジナの歌詞通り「それぞれの道はまたどこかでつなが」りましたね。
ギターの音かすごく歪んでいて、あーでもないこうでもないと気にされる。鈴木さんも気にされヒデさんのうしろから覗き込んでいたり。
「ま大丈夫でしょ」と話題を変える。
「12回もやっていると自分でも変化をつけたいな」と仰るヒデさんに
「その変化がそれ?」と鈴木さんのツッコミが入る。
クスクス笑いの客席にいや曲順とかだいぶ変えてますと弁解する。
自分の中でやらないと決めている曲があって、なぜかと問えば深い理由はないとのこと。深い理由がないのならやっていない曲も聴きたいですよね、ソロならバンド編成よりもやっていない曲も比較的やりやすいと思われますし。知らんけど。
ということで、大昔に書いた曲という「泳ぐ子」という名の曲をされる。最近ファンになった方にも、往年のファンの方にも食いつくような珍しさなのではないでしょうか。デモ音源などにはなっていたかもしれませんが今入手できるCDには収録されていません。
今までソロライブはあまりやっていなかったが、2ヶ月に一度開催しているTHE BANDEDを始めてから定期的にやるようになって、慣れてきたとのこと。そしたら今回のように変化をつけようという余裕も生まれますよね。良いことばっかりですね。
「泳ぐ子」のあとのお話からは、3曲お話なく続けて演奏される。こういうところも変化をつけてきているのだと感じる。特に「Collegetown Bagels」のアウトロから「蛍」のイントロへ自然につなげていったところは唸り声をあげそうなほど心を揺さぶられる。今日のハイライトの一つだと感じる。
最後の曲は、ヒデさんの友人が世界を旅することになった時に送り出すように書いた曲という「Just For the Sake of It」。
ミュージシャンに好きって言ってくれることが多いそう。
世界を旅しない私でも、日常生活の見方や視点を変えれば世界を旅するくらいの発見やインパクトがあるんじゃないかと汲み取り、明日から少し背筋を伸ばして歩いてみようかと小さく頷いた。
-setlist-
01.スノーマン
-mc-
02.ムジナ
03.Looking at You
-mc-
04.泳ぐ子
-mc-
05.甘い言葉
06.Collegetown Bagels
07.蛍
-mc-
08.Just For the Sake of It
-第2部-
第2部は、OHIO101のギターボーカル、鈴木純也氏のソロです。
私がお茶を摘みに行っている間にヒデさんから鈴木さんへ交代し、マイクスタンドの前に立ち準備をされている。
使い込まれて不揃いになったA4用紙の歌詞の束、ドクターマーチンのショートブーツに、リハーサルの時は黒の半袖Tシャツだったけれど、今は黒の襟付きシャツに着替えている。
今回も始まりますというアナウンスはなく気づいたら始まっていたというように始まる。曲は
歌い終えるごとに「はいっ」と言って区切り、歌詞を足元へ落とす。
歌詞が書かれたA4の紙は、何度も繰り返し使用してボロボロのふにゃふにゃになって四隅がポップコーンの表面のようになっている。A4用紙がA6用紙くらいの大さになっているくらい使い込んでいるものもある。
折れてぺろっとめくれた部分を伸ばしてみたり、破れた部分をさらに千切ってみたいという衝動に駆られないのかなと考える。「この紙の破れ方は◯◯の曲ね」と判るんじゃないかな。
紙がどれだけボロボロになっているかで、その曲がどれだけ歌われてきたのかの歴史になっているのでしょう。
どれくらいでと想像を試みたけれどできませんでした。
最初のまとまったmcの時間。
ローの下の方が出てないのかなとすこし音がおかしい様子。
昨日名古屋でソロワンマンがあったよう。
「犬神家の一族」のスケキヨのマスクをかぶってステージへ出て、歌いにくいので歌うときは脱いで、というソロワンマンだったそう。
「犬神家の一族」は、板尾創路がやっているのしか知らないです。頭の上にみかんを乗せているやつ。
「カッシーも奇をてらってぐいぐい来ると思うんで」と次回のヒデさんは奇をてらった演出をされるかもしれませんね。
次のお話の時間には、次週の“INTO THE HARVEST”のイベントの告知をされる。
毎年お題に則った新曲を披露されているようで「鋭意製作中」とのこと。そしてOHIO101の『CHESS CIRCUS』収録の「INTO THE HARVEST」を歌われる。
最近のソロの時にいつも話しているというホテルの話があってと、前回の続き!と期待したが「みんな終わってからも飲むでしょ?その時に話します」と結局は話されず、残念。
OHIO101含めて鈴木さんのライブを見るのが4回目で、ライブでの印象とは逆に、mcのときは冗談を言っていたり、終わってから少しお話しさせていただいた時も気さくに対応してくださったので、次はもう少し勇気を出してみようと思う。
まずは横溝正史の原作を読んでみようと思います。
-第3部-
エレキギターへ持ち替えた鈴木さんの横に、ヒデさんが立つ。
トイレ待ちましょうかと少し時間を空けていただく。ありがたい。
待ちながらもそれぞれギターを爪弾き、店内にインストゥルメンタルが流れているような雰囲気になる。そのまま、いきなり今回の新曲(THE BANDEDのカバーとして)の「When I Paint My Masterpiece」をされる。『Cahoots』収録。
ヒデさんが最近見た映画で良かったものの話をされる。
「シビルウォー」は気になっていたので、Amazonとかで観れたら観てみます。
この曲のボーカルは誰も真似ることができないとヒデさんがおっしゃる「It Makes No Difference」を。前回も聞くことができました。オリジナルは『南十字星』収録。オリジナルはまだこれからなので、オリジナルを聴いたとしても私は目の前の2人のことを思い出します。
演奏後にこの曲の説明をするも
「なんだって?」と鈴木さん。
前2曲と違い、次はThe Beatlesのカバーで「Happiness Is a Warm Gun」。鈴木さんが一番The Beatlesの曲で好きな曲だそう。
ヒデさんは「(ビートルズには)全部が詰まっているので毎回同じじゃない」「ここでは言わんとこかな」「その時によって一番好きな曲は違う」とのこと。
The Beatlesは当然のように子供の頃から生活の中に入ってますから一理ありますね。ちなみに私は高校一年生のときに一番好きだったのは「She loves you」です。
言わんとこう言うてるのに
「ちなみに今は?」と話をふる。
「Drive My Carです」
「ふぅん、わかりました」
話変わって、「さっき純也さんが怪奇現象の話したとき(店の後ろにある)ボールが落ちた」
「えっ?!」と固まる鈴木さん。
ゾワっとしたものを取り払うかのように、2ndアルバム収録の「King Harvest」を。2人のハーモニーも聴きどころ。私はファーストアルバムしかまだ知りませんので。ほとんどは勝手にTHE BANDEDのオリジナル曲として聴いています。こう言う入り方も良いと思います。知らなかったからできる聴き方。
前回の話、鈴木さんが深爪をして大騒ぎしたという。
爪を切るのが大変と言う話から、
「老化きてる?」
「きてます、朝起きた時ケータイ全然見えないです」「見方がおじいさん」
「あーそう」と突き放す。
「毎回思うんですけど」と鈴木さんが客席にふる。
「これ…楽しい?」
「これをきっかけにTHE BANND聴いた人いる?」とヒデさんが質問し、数名が挙手する。
「どうでした?」と挙手したひとりに水を向ける。
「THE BANDEDの方がいい」
「それは根本的に間違ってますよ」
取っ付きにくい曲が多いけど、逃れられなくなってくるというのはヒデさんの談。
なるほど。文学でたとえればフランツカフカ(Franz Kafka)のようなものなのかな。判らんけど。Kafkaも取っ付きにくくて難解やけど、好きになる人はめちゃくちゃ好きになるって昔行きつけだった帽子屋さんの女店主さんが言うてました。
THE BANDEDのオリジナル曲や、2人でやってみたらしっくりくると言ってはるアランスミシーバンドの「Run on the Highway」を最後に演奏して本編は終了です。
このイベントは、「高校の文化祭で出し物をやっているようなイベントみたい」「変な汗が出る」
あれやこれや試行錯誤しながらやって、演者側もお客さん側も成長していけるようなイベントでいたいと締められる。
先ほど最後の曲の前に、
「この曲やってアンコールでWeightやって……」と事前に仰っていた通りアンコールは鈴木さんんとヒデさんのツインボーカル、サビをみんなで歌って、心の中でも歌って、第12回目は円満に終幕しました。
前回のホテルの話を少し。
話の詳細は前回のブログに書いていますのでよければこちらのリンクから→前回の怪談話。
鈴木さんが宿泊されたそのホテルの建っている場所自体は、大島てるで調べただけですが、昔にその部屋や建物で何かがあったというのはないよう。
「別のお話がある」と終演後にチラッと伺う。
キャンプへ行った時に血で描かれたてるてる坊主があったとのこと。
その後、自分や一緒に行った人に原因不明の不可解な現象が起こっているよう。
あまり安易にこういうことを書くと良くないかもしれないので、この辺で留めておきます。
※セットリストはヒデさんに教えていただきました。
-setlist-
01.When I Paint My Masterpiece
02.It Makes No Difference
03.Happiness Is a Warm Gun
04.King Harvest
05.Lamy Song
06.Ophelia
07.Never too Late
08.Run on the Highway
en.The Weight
ご覧いただきありがとうございました。
epice cafeから帰宅してお風呂に入ったときのこと。
右のふくらはぎに親指で押さえつけられたような大きくて真っ赤なアザがありました。
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